山梨旅館-1

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4年前の話。

おれが会社に入社して5年目の時、短大を卒業したばかりの由紀子がうちの課に配属された。
まだ二十歳そこそこの由紀子は、男ばかりの職場にとって花のような存在だった。
顔は普通よりちょっとかわいいくらいだったが、スタイルが抜群によかった。
特に大きい胸と、くびれたウエストのギャップがたまらなかった。

当然彼女はチヤホヤされた。
競争率は高かったが、おれは猛烈にアタックした。
その甲斐あって、2ヶ月ほどしておれと由紀子は付き合うことになった。

ただ、一つだけ由紀子には心配な事があった。
というのも、彼女は酔うと場の雰囲気に流されやすくなる性質だったのだ。
本人も「飲むとHな気分になる」と言っていた。
初めて由紀子を抱いた時も、二人で飲みに行った帰りだった。

もちろん本人もこれじゃいけないと自覚しているらしく
「信用できる人以外とは飲まない」
と言っていた。
実際会社の飲み会でも、酒は一切口にしなかった。

ちなみに由紀子の体は想像以上だった。
若くて白い肌、仰向けなのに形の崩れない乳房。
しかも由紀子は感度もよかった。まあ酒の力もあったと思うが。

しばらくすると、おれと由紀子は社内で公認の仲となった。
隠す必要もなかったし、なによりもおれが安心したかった。
結婚もお互いに考えていた。仕事も顧客がついてきたし、
何もかもが順当にいっていた。と、思っていた。

というのも、この頃からうち課の木沢部長が、
由紀子に対してセクハラまがいの行為をしていたのだ。
(木沢はがっちりとした体躯に浅黒い肌をしていた。昔、柔道をしていたらしい。
そして、42歳という若さにして部長職に就くほどのやり手だった。)

当然おれはこの事を知らなかった。
まあセクハラと言っても、せいぜい肩に手を置いたりする程度で、
あとは「食事にでも行かないか?」ぐらいのものだったから、由紀子も油断をしていたらしい。

由紀子が入社して、半年がたった初秋。その事件がおきた。
それは社員旅行で山梨の温泉に行った時のことだった。
旅行当日、3台の観光バスで現地に向かった。
気の抜けたような名所めぐりを終えると、旅館でお約束の宴会が待っていた。
総勢60人ほどの宴会だったので、場も騒がしかった。
おれは宴会場に入ると、由紀子の姿をさがした。
(おれと由紀子は別々のバスに乗り込んでいたから、まだほとんど話をしていなかったのだ。)

すぐに末席にいる由紀子を見つけた。浴衣姿が色っぽかった。
しかし彼女は困ったような顔をしていた。周りで騒ぐ男連中が原因だろう。
それを見て一瞬胸騒ぎをおぼえたが、その連中も、由紀子とおれが付き合っている事、
そして彼女が酒を飲めない事を知っていたので、無理にすすめる奴はいないだろうと思っていた。
おれも次々に酒を注がれて忙しく、なかなか由紀子の方に行けなかった。
そうこうするうちに旅の疲れも手伝い、あっという間に酔いがまわってつぶれた。

おれは気づくと自分の部屋で寝ていた。
時計を見ると午前1時を回っていた。
まだ、頭がグラグラしていた。そばで同僚が麻雀をしていた。

「おー復活したか」「お前もやるか?」と声をかけられたが、断った。

そのままぼーっとしていると、ふいに由紀子の事を思い出した。

「由紀子とかもう寝たのかな?」

同僚に聞くと、

「ん、由紀子?そういえば途中で気持ちが悪くなったとか聞いたぜ。」

「めずらしく飲んでたからな。」

と返ってきた。

「あいつ、酒飲んでたの?」

一瞬ドキリとした。
でもその後、旅先だし、普段、あまり会うことのない課の女子事務員がいるから、
付き合いでちょっと飲んだんだろうと考えた。
だが一応心配になったおれは、由紀子の部屋に向かった。
(うちは女子事務員が少ないので、彼女たちは一人部屋を与えられていた。)

部屋に着くと、鍵がかけられていた。
やっぱり寝てるのか・・・と思った。
だがこの時、ちょっとムラムラしてたおれは

「起こしてやっちゃおうかな」

と思い、しばらくノックを続けていた。
すると、隣の部屋のドアがガチャリと開いた。
そこにいたのは木沢だった。

「何時だと思ってんだ?うるせーぞ」

と怒られた。そして

「もう由紀子寝てんだろうし、お前も寝ろ」

と言われた。
さすがにバツが悪かったおれは、謝ったあと部屋に戻り、やる事もないのでそのまま寝た。
もし、木沢が由紀子にセクハラをしてると知っていたならば、無理やりにでも木沢の部屋に入っただろう。
だがこの時はそんな事思いもよらなかった。
部長だから一人部屋なのもおかしくないし、それが由紀子の部屋の隣だとしてもたまたまだろう。

この時のおれは、まさかその部屋に、由紀子がいたとは夢にも思わなかったのだ。

次の日から由紀子の様子がおかしかった。
話しかけても生返事だし、すぐに他の事務員のところに行ってしまう。
なんかよそよそしかった。

それでもこの時は、
「昨日ロクに相手もしなかったしすねてるのかな?」
位にしか思ってなかった。

だが、旅行が終わったあともその態度は続いた。
それはよそよそしいというか、ハッキリ言えば避けられている様な感じだった。
食事に誘っても断られ、仕事以外の事は一切話さない。
そんな状態が一週間も続いた。
いよいよおかしいと思ったおれは、

「最近様子おかしいぞ?今日の夜、おまえんち行くから。いろよ!」

と、半ば強引に約束をした。
しばらくの間があった後「・・・分かった」と由紀子が返事をした。

夜、おれは取引先から自分の家に直帰し、支度をして由紀子の部屋に向かった。
9時頃つくと、由紀子の部屋は明かりがついていた。
チャイムを押すと、由紀子が出てきた。やはり様子が変だった。
とりあえず部屋に入ると、単刀直入に聞いた。

「・・・あのさ、なんかあった?」

すると、思いがけない事を言われた。

「・・・わたしを、振ってください。」

そして由紀子はペタンと座って泣き出した。
まったく意味が分からなかったおれは、

「なに言ってんだよ?」

「全然意味わからねーよ」

と言った。由紀子は

「わたし、あなたの彼女の資格、ないです」

「別れてください」

と泣きじゃくるだけだった。
この時のおれは、最悪な事を想像していた。いや、実はうすうす気づいていた。
最近の様子を見て、たぶんあの日、由紀子の身に何か起きたのだろうと。
おれは何があっても動揺しないよう自分に言い聞かせた。

小一時間もすると、由紀子はポツリポツリと話し始めた。
それは、あの旅行の晩、木沢にされてしまったという内容だった。
覚悟していたとはいえ、相当ショックを受けた。
おれの由紀子が?あの木沢に?
凄まじい怒りがこみ上げてきたが、由紀子の手前、ぐっと堪えた。
そのあとおれは、

「由紀子を愛してるし、結婚もしたいと思ってる。この気持ちはどんな事があっても変わらない。」

「だから、どうしてそうなったか全部聞かせてほしい。」

と言った。
何度も何度も「一回だけの過ちなら、気にしない。」と繰り返した。
気にしないというのは嘘だけど、由紀子を失いたくないと言う気持ちは本当だった。
最初は首を振るだけだった由紀子が

「木沢が知っていておれが知らないというのが我慢できないんだ」

「おれの事を好きだと思っているなら、教えてほしい」

「・・・覚悟はできている」

と言うおれの言葉に、徐々にだが、あの晩のいきさつを話し始めた。
それは要領を得ないしゃべり方だったが、詳細をまとめると以下のようになった。
(最初に断っておくと、下に書かれている内容の半分以上はこの日ではなく、後日聞きだした。)

 
 
 あの日、宴会でたくさんお酒を飲まされた。特に部長がすすめてきた。

 しばらくすると気分が悪くなった。部屋に戻ろうとすると部長が介抱してくれた。

 歩いていると、さらに酔いがまわってきた。部屋に着くとトイレで吐いた。
 その時も部長が背中をさすりながら「大丈夫か?」「飲ませすぎて悪かったな」と声をかけてきた。

 吐き終わると、今度は頭がクラクラしてきて、ベットに倒れこんだ。
 よく覚えてないけど、ベットまでは部長が運んでくれた気がする。

 「苦しくないか?苦しくないか?」としきりに聞く部長に「大丈夫です、大丈夫です」と答えてた。

 気づくと浴衣の前がはだけていて、オッパイがでていた。Tシャツとブラがいつのまにか上にずらされていた。
 「こうしたほうが苦しくないだろ?」と部長に言われた。
 とっさにそれを隠そうとすると、押さえつけられた。

 そして無理やりキスをされた。

 頭がぼーっとしてたから分からなかったけど、しばらくして裸にされてた。
 自分でも信じられなかった。

 部長がしつこくオッパイを揉んできた。
 形が変るくらい強くされて、痛かった。

 いつのまにか下のほうを指で愛撫されてた。すごく抵抗すると、またキスされて、もっといじくられた。
  
 部長が足首を掴んできて、むりやり足を広げられた。そしてアソコを舐めてきた。抵抗したけれど力では全然敵わなかった。
 ずっと舐められてるうちに、頭がボーっとしてきて、何がなんだか分からなくなってきた。

 いきなり部長が上にのしかかってきた。
 びっくりして押しのけようとしても「いいから、いいから」と取り合ってくれなかった。
 そして、部長が入ってきた。
 何回も「いや!」って抵抗したけど、その度に強く突かれた。
 それを何度も繰り返されてるうちに、抵抗できなくなってた。

 「腰を動かせ」って言われた。ぼーっとしてて、ちょっとだけ動かした。
 部長はさらに興奮したみたいだった。

 しばらくすると、部長がいっぱい動き出した。頭が真っ白になった。なんにも分からなくなった。
 気づいたら、部長が私にくっついたまま動かなくなってた。

 ちょっと恐くなって「・・・(コンドーム)つけてますよね?」って聞いたら、「出しちゃったよ、中に。」って言われた。
 
 パニックになって部長の下で暴れた。だけどやっぱり押さえつけられて、唇をふさがれた。
 そのうちに入ったままだった部長が膨らんできて、またはじまった。

 されてるうちに、また頭にモヤがかかってきた。 
 だんだんどうでもよくなってきた。

 その時ドアを叩く音がした。
 部長が私の口を押さえると「そのまま」って言った。
 しばらくして「やっぱり寝てるんじゃない?」「起こしちゃ悪いよ」ってドアの外から声が聞こえてきた。
 多分、○○さんと××さん(他の女子事務員)だったと思う。
 これで私の意識がハッキリしてきた。

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